シットゥイン(Sittuyn)
2021年にクーデターが起きて以降、不安定な政治情勢のミャンマーですが、シットゥイン(Sittuyn)という、チェスや将棋の親戚のようなゲームがあります。Androidスマホで遊べるアプリを作ったので、ルールなどをここで紹介したいと思います。
特徴
最大の特徴は、ゲーム開始時のコマ配置を自分で決められること。実際に人間同士で対局するときは、開局まで盤面の真ん中に衝立やカーテンをおいて、相手に見えないようにコマを配置するそうです。ちょっとした運要素というか、開局前から読み合いをするみたいで面白いですよね。
盤面とコマ
盤面はチェス同様、8x8マスです。対角線がありますが、これは後述のネ(兵:ne)の成りに関係するマス目を示しており、シッケチョウと言います。

コマはミンジー(王:min-gyi)、シッケ(副官:sitke)、シン(象:sin)、ミン(馬:myin)、ヤター(戦車:yahhta)、ネ(兵:ne)の6種類です。ネは条件を満たすとシッケに成れます。チェスと同様に、取った相手のコマは盤面に戻りません。
コマの種類 | 動き方 | 説明 |
ミンジー(王:min-gyi) | ![]() | 周囲8方に1マスだけ動けます。チェスのキング、将棋の王と同じ動きです。自分のミンジーが詰まされると負けになります。 |
シッケ(副官:sitke) | ![]() | 斜め4方向に1マスだけ動けます。 |
シン(象:sin) | ![]() | 前方3マスと、斜め後方2マスに動けます。将棋の銀と同じ動きです。 |
ミン(馬:myin) | ![]() | チェスのナイトと同じ動きです。ナイト同様に、途中に他のコマがあっても飛び越えることができます。 |
ヤター(戦車:yahhta) | ![]() | チェスのルーク、将棋の飛車と同じ動きです。ルーク、飛車と同様に、途中に他のコマがある場合、飛び越えることはできません。 |
ネ(兵:ne) | ![]() | チェスのポーンとほぼ同じ動きです。1マス前が空いていれば進むことができ、斜め前に相手のコマがあれば取ることができます。特定の条件を満たすとシッケに成ることができます。 |
ネは以下のいずれかの条件を満たすと、シッケに成ることができます。
- 自分のシッケが盤面に居ない場合で、相手陣地(盤面の中央より相手側)のシッケチョウに居るネはシッケに成れます。
- 自分のシッケが盤面に居ない場合で、自分のネが1つしか残っていない場合、シッケチョウでなくても、どこでも成れます。
成りの条件は上記だけなので、例えばネが相手の陣地の終端まで行き着くと、シッケに成れない限り動けなくなります(無闇に進めない方が良い)。
コマの初期配置
ネの初期配置はa3~d3までと、e4~h4までと決まっています(相手側はa5~d5、e6~h6)。ミンジー、シッケ、シン、ミンはネより下側の自陣内であれば、どこでも自由に配置することができます。ヤターは自陣最下段に配置します。


何通りか、コマの配置の”定石”があるようですが、それについてはまた別の機会に書いてみたいと思います。
勝敗のつけ方
将棋やチェスと同様に、相手のミンジーを詰ますことがゲームの目的となります。ステイルメイトは引き分けとなります。また、相手がミンジーのみとなった場合(裸玉の状態)、カウントダウンが始まり、規定の手数以内に詰めきれなければ引き分けとなります。
カウントダウンの手数は下記の通りです。
- ヤターが2つある場合、8ー(盤面上のコマ数)。
- ヤターが1つある場合、16ー(盤面上のコマ数)。
- シンが2つある場合、22ー(盤面上のコマ数)。
- ミンが2つある場合、32ー(盤面上のコマ数)。
- シンが1つある場合、44ー(盤面上のコマ数)。
- 上記以外の場合、64ー(盤面上のコマ数)。
裸玉にされた場合、勝ち筋はなくなりますが、上手く逃げれば引き分けに持ち込めるということですね。その際、戦力差が大きいほど逃げ回る手数は少なくて済みます(少ないカウントダウン数で引き分けに持ち込める)。
ゲームのおもしろさ
お互いに初期のコマ配置を自由に決められること、劣勢な側もカウントダウンをうまく使えば引き分けに持ち込めることが、シットゥインの面白いポイントです。チェスに比べると1つ1つのコマが弱く、将棋のように持ち駒を再利用できないので、穏やかにゲームが進行する印象です。
シットゥインのモチーフは古代インドの叙事詩ラーマーヤナにあると言われています。ラーマ王が猿の軍勢の助けを借りて、魔王ラーヴァナとその軍団を倒して妃のシータを取り戻すという話があるのですが、その戦いの様子を赤いコマ、緑のコマで再現しているんだそうです。猿とか魔物の軍団のシットゥインセットがあったら、ちょっと欲しいかも。
最後に、シットゥインをAndroidスマホで遊べるアプリを作ってありますので、よかったらダウンロードして遊んでみてくださいね。
シットゥイン
シットゥイン・フリー
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